20時22分、福間駅前。
博多からの上り列車と小倉からの下り列車が百人単位で乗客を掃き出して、
3基の出口改札機に群がって散って、エスカレーターを降りたら西鉄バスのバス停。
帰りのバスは、5番津屋崎橋行き。10人以上が津屋崎へのバスを待つ。
そこへ来たのは、5番西鉄新宮駅前行き。乗り場を同じくして、逆方向へ行くバス。
「ご乗車の方はございませんか?」
寒い駅前ロータリーに響き渡るスピーカーからの声。2人を乗せて発車していった。
20時25分。帰りのバスがやって来た。
散らばっていた人々は中扉に集まり、自然と2列ができて乗車する。
やって来たバスに乗っていたのは5人くらいなので、全員が相席せずに座れた。
西鉄宮地岳線の代替バスでありJR線とも並行するこの路線は、ここからフィーダー路線の色を強くする。
駅から降りるバス停までの所要時間は、せいぜい5分程度。
旧町境の交差点で信号に引っ掛かると2分くらい伸びる。
混んだ列車を降りてちょっとだけ乗る帰りのバス。
イヤホンの先から低く聞こえるエンジンの音が、一日の終わりを静かに感じさせてくれる。
やっぱり交差点で信号に引っ掛かった。
この太郎丸の交差点は、旧福間町と旧津屋崎町の境界にあたる。
バスに乗っている人達は、みんな津屋崎の人。
福津市として両町が合併して10年経つけれど、何となく別々の町という意識が今もあると思う。
帰りのバスに乗ると、同じ町に住む人々だということに親近感を覚える。
この親近感、他の町へ向かう「帰りのバス」でも感じている人が居るのだろうか。
先の交差点を抜けたすぐ先の戸井手にて、買い物帰りの2人を乗せ、
バスは町へ通じる暗く僅かな田圃を両脇に走る。
田圃の多くはここ10年で宅地や商業施設になっていった。
誰かが降車ボタンを押した。そうだ、私も次で降りる。
右手に宮地嶽神社の駐車場が見えると緩やかな登り坂。
正月三が日は100万という参拝客で、この道も大変な渋滞が発生する。
そもそも、この登り坂からは通行止めになるのであった。
この町に住むと正月は町を出るのに一苦労する。
その分、初詣は宮地嶽神社が近くにあるから、わざわざ遠出することもない。
20時32分、宮地嶽神社前。
同じく駅から乗った5人がここで降りた。
降りたバスは緩い下り坂をゆっくりと発進し、役場や旧津屋崎駅前を経て漁港沿いの津屋崎橋へ。
さあ、あとは歩いて帰るのみ。
降りた人達に後れを取りながら、同じ方向へと坂を下る。
昼も夜も閑散としている宮地嶽神社の参道も、もう幾つ寝れば参拝客でごった返すことになる。
一年が終わるのはつくづく早いなあと、そんなことは毎年のように思いながら帰るのであった。
明日もこれからも、多分こんな帰りが続くのだろう。
(2014年12月中旬)
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